ギャラリーの建物そのものを装置化したインスタレーション。 プロジェクターからは、それぞれ線画のアニメーションと鼓動する心臓の映像がジョーゼットに向けて投影される。 交互に現れる目と乳房から雫が落ち、剥き出しの心臓に注がれる。スピーカーからは鼓動の音が流れている。 リボンで飾られた壁掛けTVモニターには白い窓枠があり、その向こうの森に半裸の女が横たわっている。ピンクの髪に赤いリボンの子供が現れ、女に水を注いだりしゃがんで何かが起こるのを待っている。 会場内部に入ることで、鑑賞者は自身、もしくは他者の身体内部に入り込む体験をするが、そこで、育てること、また目覚めることといった、死者と生者の贈与関係にまつわるイメージを与えられる。 新しい命や記憶の想起によって、その贈与が継承、展開されるということについて考察した作品。 |
2012年4月『新しいお誕生日』、アート・スペース虹(京都)
会場風景(2012) photo: Tomas Svab (シュヴァーブ・トム)
comment:
失われた大切な人を想い出すと、乳房から降る乳の滴が、
開かれたばかりの熱い心臓に触れ、なくなったひとは、
新しい鼓動でともに生きているように感じるときがあります。
「新しいお誕生日、おめでとう」。
ある日母の母になって、贈り物をする幼児として、
あるいは、遠く亡くなった人たちに思い出されて、
わたしたちが眼を覚ますように、
新しい4月の春に、心臓の家をインスタレーションします。
Akiko OKDA